サンレー紫雲閣

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メルヘン

メルヘン

 小さなふとんの上に、お人形さんが眠っているようでした。それはそれは愛らしい、天使のような男の子でした。
 生後七日目、運命とはいえ、新米ママの腕の中で小さな灯のような生命は消えていきました。
 出生届と死亡届を同時に手続したおじいちゃん。人目もはばからず、泣き崩れていらっしゃいました。
 「きちんと見送ってあげたい」という、おばあちゃんの思いで、住職をお呼びしての通夜葬儀になりました。
 七色の風船、エンジェルヘアの雲、ライティング、お花、童謡の流れる式場は、女性スタッフ総動員で、祭壇をメルヘン調に仕上げました。
 
 いよいよお別れのときです。小さな遺体はまずパパとママが抱っこします。次に二組のおじいちゃんとおばあちゃんへ。家族の腕から腕へ、涙のリレーになりました。
 最後の家族写真。赤ちゃんを抱え、顔を見つめ合うパパとママ。幸せな家族が始まるはずだったのに、そう思いながら必死で涙をこらえながらシャッターを切りました。

 式場に飾った風船は、糸の先にハーブの種を結びつけ、出棺のとき、みな様に一本ずつ持っていただき、いっせいに空に放ちました。
 色とりどりの風船が、青い空に吸い込まれていきます。
 風に流され、遠くの山のかなたに・・・糸に結んだハーブの種が、いつかきっと、どこかで芽吹いてくれることを祈りつつ。

 斎場では、パパの運転でママに抱かれて到着した遺体を受け取り、「メルヘン」と呼ばれる黄色のバスケットの棺におさめました。
 中には、お花とぬいぐるみ、そしてハーブの種を敷き詰めました。
 
 「さみしくないからね」
 小さな天使は、天国に召されていきました。

52歳 女性 K.I (メモリアルスタッフが見た、感動の実話集『最期のセレモニー』より)