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最後のクリスマス

 とても寒かったクリスマスの葬儀の話です。亡くなったのは、まだ小さな八歳の女の子でした。
その子は生まれた時から重い障害を抱えており、医者からは、「おそらく一年以上生きることは難しいだろう」と言われたそうです。しかし、ご両親の深い愛情もあって、彼女は何度も危険な状況を乗り越え、八年間生き続けたのだとおっしゃっていました。
 そんな彼女が亡くなったのは、一二月二十三日。八歳の誕生日を迎えた次の日でした。
 昨日まで、いつもと変わらぬ娘と誕生日を祝い、きっとこれからも続いていくのだと、そう願った矢先の突然の事でした。クリスマスを楽しみにしていた娘さんは、二十三日の朝、自宅で静かに息をひきとっていたそうです。
 私が打ち合わせにうかがったときには、とても八歳には見えない小さな体の彼女のまわりで、二人の妹と弟がおもちゃを持って遊んでいました。幼すぎてまだ姉の「死」を理解できない二人は、何度も両親に「お姉ちゃん起きないの?」と不思議そうに尋ねていました。
 その日はご自宅で一夜を過ごされ、イブの通夜、クリスマスの葬儀告別式となりました。

 お通夜の数時間前のことです。
 「明日のために、学校のみんなで作っていたものです」と彼女が通っていた学校の先生が、紙袋いっぱいのクリスマスの飾りつけを持ってきてくれました。
 故人が作った作品もあります。
 彼女の遺影の周りには、クリスマスの飾りでいっぱいになりました。それを見られたご両親は「よかったね」と目を赤くしながら遺影に語り掛けておられました。
 告別式の日、重い障害を抱えている生徒さんが多いので学校関係者の参列は少ないだろうという両親の考えとは裏腹に、たくさんの人が彼女を見送ってくれました。そして彼女は小さなお骨となって天国へ旅立ちました。
 ご自宅の祭壇には、ピンクの骨壺、その横には小さなおもちゃと真っ白なケーキが供えられていました。

25歳 男性 K.H (メモリアルスタッフが見た、感動の実話集『最期のセレモニー』より)

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