文化にも高齢者にふさわしいものがあります。長年の経験を積んでものごとに熟達していることを「老熟」といい、長年の経験を積んで大成することを「老成」といいます。
この「老熟」や「老成」が何よりもものをいう文化を、「グランドカルチャー」といいます。
グランドカルチャーとは、茶道、囲碁、俳句、盆栽、水墨画、写経、能、相撲、落語、風呂、陶芸、骨董、庭園、琴、三味線、小唄、詩吟、気功、着物の着付け、礼法などです。
グランドカルチャーは生け花よりも盆栽、将棋よりも囲碁、短歌よりも俳句、歌舞伎よりも能……と挙げていけば、そのニュアンスが伝わると思います。
どんな文化でも老若男女が楽しめる包容力をもっています。とくに高齢者と相性のいい文化、グランドカルチャーが確かにあります。
グランドカルチャーは老いていくこと、つまり「得る老い」を「潤い」とする力をもっているのです。