遺産相続において未然にトラブルを防ぐ方法の一つとして「遺留分の放棄」という方法があります。これはもらえる相続を放棄するというものです。
では、一見自分に不利益に思えるような遺留分の放棄をなぜするのでしょうか。
遺留分という権利は、一定の相続人を保護すると同時に、その他の相続人には「遺留分減殺請求」されるリスクを負わせるものです。そのため、このリスクから生じる争いを回避するために、遺留分の放棄が必要となるのです。ただ、トラブルやリスクというとマイナスのイメージがありますが、実際はそういうケースばかりではありません。
配偶者が亡くなり、のこされた例えば母親の老後の生活費を維持するために、子供たちの遺留分を放棄して、残された遺産を全額母親に相続させる場合などがあります。母親の遺産が2分の1になってしまわないようにするために、こうした制度を活用するわけです。
遺留分放棄には家庭裁判所の申し立てなど、さまざまな条件や手続きが必要になります。専門家に任せることをお勧めします。ただ、こうした制度があることも知っておきましょう。