遺言書作成の流れ
❶法定相続人を調べる
財産をあげる相手が決まっていれば調べることは不必要。
❷財産を確認する
・一人にすべての財産をあげる場合は、財産調べは不必要。
・長男にすべての土地と家屋を、妻にすべての預金をあげる場合も、財産調べは不必要。
・特定の財産を指定する場合は詳細な財産状況の調べが必要。
❸誰にどのように配分するか決める。財産をあげる相手が不明確な場合は、親族図をつくってみる。
❹遺言書の下書きをして、ルール通りかチェックする。
❺遺言書を清書し、封印する(封印は必ずしも必要ない)。「遺言書の訂正」を参考にする。
❻自宅金庫や貸金庫などに保管する。貸金庫は、本人死亡と同時に凍結されるので、代理人を立てておきましょう。
〈用意するもの〉
・下書き用の便箋
・封筒(市販のもの)
・黒のボールペン
・実印(認印でも可)
遺言書の書き方
❶用紙はなんでもかまいません。
❷筆記用具はボールペンがよいでしょう。
❸自筆で書く。代筆やパソコン、ビデオによるものは無効です。ただし、財産目録のみ、2020年からの民法改正でパソコンでの作成が認められます。
❹遺言書が2枚になるときは1枚目と2枚目の間に契印を押す。
❺遺言文の書き方は、縦書きでも横書きでもかまいません。
❻ 数字表記については、1234……、一二三四……、壱弐参四……、どれでもかまいません。
❼遺言によって、その内容のものを受ける人(受遺者)を特定する必要があります。「長男○○○○」「妻○○○○」のように、家族であっても氏名をハッキリと書きます。
❽相続人への遺言は「相続させる」、相続人以外へは「遺贈する」と書き、「差しあげる」とか「あげる」とかは書かないようにします。相続人以外の人に、財産をあげたい場合は、相手の氏名、生年月日、住所を書いて特定し、「~を遺贈する」とします。
❾遺言にしたがって、その内容を執行する人〈遺言執行人(者)〉を一人でも二人でも指定しておいたほうがよい場合もあります。
遺言執行人には誰でも何人でもなることができますが、相続人のうちの誰かを執行人にすることは避けたほうがよいでしょう。子供の認知、相続人の廃除、その取り消しなど、相続人同士だと利害が相反してうまくいかないからです(ただし、未成年者と破産者は執行人にはなれません)。
❿同一証書上の夫婦連名での遺言書は無効です。それぞれ別の用紙に書かなければなりません。
⓫日付は○○年○月○日と明確に書きます。○○年○月吉日では特定できません。遺言書が何通もあるときは、新しい日付のものが有効とされるからです。封筒の日付も遺言書の日付と同一にします。
⓬遺言書本文中の遺言者の名前のところと、封筒に入れる場合は封印のところと遺言者氏名のところに遺言者本人の印(実印でも認印でもよい)を押します。
自筆証書遺言の訂正には法律上厳格なルールがあるので訂正をせずに書き直しをおすすめします。
遺言内容を取り消したいとき、遺言書が別の場所にあって訂正できないことがあります。そのような場合は、「本日以外のすべての遺言書を取り消す」とする遺言書を作成する方法もあります。それから日を改めて、ゆっくりと新しい日付で遺言書を作成します。